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☆ 子ども医療費助成制度の推移−コンビニ受診は増えたのか?
[2017年12月16日(水)] |
2017年12月6日、保団連「子ども医療費助成制度の推移と患者の受診動向の分析」より |
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子ども医療費助成制度は年々拡充してきました。しかし一方で、安易な受診や、いわゆる |
コンビニ受診が増えるのではないかという懸念の声も聞かれます。実際はどうなのでしょ |
うか? |
そこで、厚生労働省の統計資料から検証を行いました。 |
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図1、表1に2002 年から2016 年までの子ども医療費助成制度の対象年齢(通院)の |
推移を示します。 |
2002 年には助成対象年齢のほとんどが就学前であり、中学生まで助成していたのは |
3,241 自治体のうち、僅か33 自治体(1%)に過ぎませんでした。それが2016 年には |
1,741 自治体のうち、中学生以上が1,387 自治体(80%)と、助成対象年齢の引き上げ |
は年々着実に進行しています。 |
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子ども(0〜14 歳)の人口は、2002 年は約1,800 万人だったのが、2015 年には約1,600 |
万人と約200万人減少しています。一方で、助成対象年齢の引き上げに伴い、助成の対象 |
となる人口は2002 年の約650万人から2015 年には約1,400万人と倍増しました(表2)。 |
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図2の棒グラフは2002 年度から2016 年度までの外来患者件数の年齢階級別推移を |
示しています。0〜4 歳、5〜9 歳、10〜14 歳のいずれの年齢階級でも外来患者件数は |
ほとんど変化していません。 |
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ただ、受診率(人口1,000 人当たり、1年間に病院、診療所を受診する件数)でみると |
2002 年度の7,000 件から2015年度には8,400 件と微増(1.2 倍)しており(表3)、 |
これは、医療費助成制度拡大の影響と考えられます。 |
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図2の折れ線グラフは子どもの医療費の推移を示しています。概算医療費(全年齢の総 |
医療費)は2002 年度から2016 年度までの14 年間で11.3 兆円も増加しているのに対 |
して、0〜14歳の子どもの医療費の増加は0.44 兆円(4,400 億円)に過ぎません(表4)。 |
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それでは、コンビニ受診(安易な時間外の受診)は増えているのでしょうか。 |
図3、表5は2006 年から2016 までの各年の6 月の時間外受診件数の集計結果です。 |
医療費助成制度は拡大し、助成対象人口は増加しているにも関わらず、いずれの年齢 |
階級でも時間外受診件数 はむしろ減少傾向にあります。 |
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これは、喘息の吸入療法など治療法の進歩に加え、医療費助成制度の拡充によって必要 |
な受診が確保されたために疾病の重症化が防止され、時間外の受診が減少した結果と |
考えられます。 |
医療費助成制度を拡大しても、安易な受診やコンビニ受診にはつながらないことが、厚生 |
労働省の統計データからも証明されました。 |
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出典及び計算に用いた資料 |
図1、表1:乳幼児等医療費に対する援助の実施状況 (厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子
保健調べ)。2011年まで:保団連集計資料より作成、2012年より:長崎県保険医協会集計
表2:国立社会保障・人口問題研究所 人口統計資料集
図2、図3、表3〜6:概算医療費データベース(メディアス)、制度別医療機関種類別 医療費、
平成12年4月から平成20年3月まで;2005a.xls、平成20年4月から平成29年3月まで;2014a.xls
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→子ども医療費助成制度の推移と患者の受診動向の分析(PDFファイル) |
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